実家リノベ | 親名義の妻の実家を夫がローンを組む時の注意点と事例解説
1.はじめに|大失敗したAさんの事例
はじめに実家のリフォームで大失敗してしまったAさんの事例を紹介します。
Aさんは、リフォームの訪問販売の営業担当者から住宅ローン控除受けられると聞き義母名義の妻の実家を無担保のリフォームローンから1000万円借り入れ15年返済でリノベーションを行いました。- ・義母は78才
・リフォーム費用は約1000万
・リフォーム費用は、67.150円/月
15年ローンで支払い中
・住宅ローンは返済済み
・築40年の一軒家
建物評価額0円
- ・義母は78才
ところが、住宅ローン控除が受けられない上に工事費が義母への贈与とみなされ贈与税までかかってしまいました。
Aさんの場合、工事が完了し、支払いも始まってしまった現状では節税対策することは難しい事態に。
事前にしっかり準備しておけば税金を抑えて工事ができたことでしょう。
このような失敗をしないためにここでは、親名義、義親名義になっている実家のリフォーム、リノベーションでローンを利用する際の注意点について解説しています。
福岡工務店リノベーション事業では性能向上に特化したリノベーションを行っています。断熱・耐震を含めた大規模改修の際には是非ご相談ください。
2.夫が妻の実家(親名義)をリノベーションする時の注意点
実家をリフォームする際の費用を誰が負担するかは、それぞれの家庭によって異なります。
・親が全額負担してくれるケース
・親と子世帯で折半するケース
・子世帯がすべて負担するケース
先にも上げた事例のように、ここでは工事費用を子世帯がローンを使って妻の実家をリノベーションするケースでの注意点を解説します。
注意点|住宅ローン減税が受けられない!
リフォーム、リノベーションでローンを利用する際でも
- 高額なリノベーションを行った時には非常に助かる住宅ローン減税ですが、これには条件があります。
➀ リフォームを行う方が所有し、居住する家屋 ② リフォーム後の家屋の床面積が登記簿表示上で50㎡超 ③ 対象工事に係る工事費用が100万円(税込)超 ④ 当該リフォームのために償還期間10年以上の住宅ローン等を利用 ⑤ その年の合計所得金額が2,000万円以下 ⑥ リフォーム完了後6ヶ月以内に居住し、各年12月31日まで居住 ⑦ 令和7年12月31日までにリフォームを行い、居住していること ⑧ 併用住宅の場合、床面積の1/2以上が居住用 ⑨ 併用住宅の場合、対象工事費用の1/2以上が自己の居住用
一番のポイントはローンを組む本人の名義になっているかどうか?という点です。
親名義、妻名義の家を夫が単独でローンを利用してリノベーションを行ったな場合、住宅ローン控除が受けられないことになります。
注意点|リフォーム・リノベーションでも贈与税がかかる!
そもそも贈与税とは個人から財産をもらった時に係る税金です。
自宅の修繕、建物の維持管理はその名義人が行うこととされており、たとえ親戚でも名義人以外がお金をかけて工事をした場合、その工事代金を贈与されたとみなされ、名義人に贈与税がかかります。
子供世帯が親に贈与する形になった場合は、相続時精算課税制度は利用できませんので、そのまま暦年課税制度によって課税されることになります。
暦年課税制度による基礎控除は年間110万円で、それを超える部分に関しては贈与税がかかることになります。
事例のAさんの場合は工事代金1000万円が贈与とみなされ、110万円の控除を差し引いた890万円に10%の贈与税 890,000円がお義母さんにかかる計算になります。
注意点|長期間低金利の住宅ローン商品は利用できない?!
リフォームでローンは各金融機関により借入金額や、金利、返済期間、条件等様々ですが大まかに2つのパターンがあります。
・リフォームローンを利用
・住宅ローンを利用
簡単に違いを説明します。
リフォームローン
リフォームローンは住宅に関することであれば審査も厳しくなく、少額から、保証人なし、無担保で借りられるメリットなどがありますが、デメリットとして金利が比較的高い事、借入れ金額の上限が500万円~1000万円程度である商品が多い事と、返済期間の上限が10年から15年と短めであることです。
つまりある程度の金額になると、月々の返済が高くなりがちになるという点です。
住宅ローン
住宅ローンは基本的には住宅を「購入・取得」する方向けのローンです。新築住宅、中古住宅を購入する際、リフォームを伴うものであれば、住宅ローン一体型リフォームローンとして、住宅価格に上乗せして借入ができますので低金利で長期間借りることができるというメリットがあります。
デメリットは、諸費用がかかることや、抵当権を付けなければいけない、審査が比較的厳しくなるという点が挙げられます。
今回の場合は、住宅の購入が絡んでいませんので、金利が低く長期間返済の住宅リフォーム一体型の住宅ローンでの借入はできないでしょう。
それならば、親から購入する形にして住宅を取得し、リフォーム一体型のローンにすればよいという考え方もありますが、多くの金融機関では親族間売買では審査が通らないという現状もあるようです。
3.夫が妻の実家(親名義)をリノベーションする際の節税対策
Aさんのように夫がローンを借りて妻の実家をリノベーションする際の節税対策として次のような方法が考えられます。- 夫が妻の親より建物の贈与を受ける
建物を贈与した場合、贈与税がかかることになりますが、築40年の建物の評価額はほぼないと考えられます。
つまり贈与税の基礎控除110万円以内であれば贈与税はかからず、所有権の移転登記の数万円だけで名義を変更できます。
また夫に名義変更した場合は自己所有の建物のリフォームなので住宅ローン減税の条件に当てはまれば申請できます。
娘の夫といっても他人、夫への建物の贈与に抵抗がある場合は妻の贈与してもよいですが、その場合は妻名義でローンを組む必要がありますので借入の審査や住宅ローン減税のメリット等事前に確認が必要でしょう。
妻がリフォームローンを組み夫が返済する場合でも、返済金を贈与していることとみなされますので注意が必要です。
ただし、夫婦が離婚した場合、妻の両親の建物の名義が夫になっていたら非常に厄介です。- 妻が妻の親より建物の贈与を受ける
この場合はどうでしょうか?
金融機関(保障会社)によっては妻が夫名義の住宅ローンの物上保証人になって(担保提供)住宅ローンでリフォーム資金を準備できる場合もあります。- リフォームローンより低金利長期間で借りられるので返済に関してはメリットはあるでしょう。
しかし名義は妻なのでこの場合は住宅ローン減税が受けられません。
実家のリノベーションを行う場合は、その後の相続の点に関しても細心の注意が必要です。
司法書士や税理士に事前に相談し、一番よい工事資金の準備の方法を選択、その後親族間でしっかり話し合い、書面に残し、トラブルを未然に防ぐようにしましょう。
4.まとめ
実家、それも妻の実家のリノベーションで夫がローンを組む場合は税金の面で事前に専門家(不動産取引に詳しいプロ、税理士など)に相談することが重要です。
ポイントは- ・建物の所有の問題
・建物の評価額
・贈与の問題
・住宅ローン控除の問題
これらを整理し、正しい情報を得て税金を無駄に払わないような満足いくリノベーションをしましょう。
福岡工務店リノベーション事業部は性能向上の大規模リノベーション、実家リノベーションを専門にしています。
是非計画初期の段階からご相談いただき、失敗しないリノベーションを行いましょう。- ・建物の所有の問題