住宅診断から始める後悔しないリフォーム|福津市で差がつく塩害対策と費用計画のコツ
はじめに
福津市は海岸に面したエリアも多く塩害の影響を受けている建物が少なくありません。
リフォーム、リノベーションをお考えの場合は事前に建物の状況調査を行うことで工事の優先順位の提案を受けたり、今後のリフォーム計画の予算を立てやすくなるというメリットがあります。
目次
1.住宅診断なしのリフォームは“高確率で後悔”につながる
2.福津市で実際にあった「塩害」による住宅劣化の事例
3.住宅診断の目的とは?― ただのチェックではありません
4.【重要】診断を先に行うメリット=“予算が組めること”
5.福津市での住宅診断の費用相場
6.まとめ:住宅診断で「ムダな工事」と「損するリフォーム」を防ごう
1.住宅診断なしのリフォームは“高確率で後悔”につながる
戸建住宅の大規模リフォームを検討している福津市の方に、最初にお伝えしたいのは、
「住宅診断、もしくは信頼できる工務店による家の劣化状態の調査をせずにリフォームを始めないでください」
ということです。 なぜなら、全体の調査を省略すると、見えない不具合に気づかずに進めてしまい、あとから高額な追加工事が発生するリスクが高いからです。
特に福津市のような海に近いエリアでは、“塩害(えんがい)”の影響が住宅に及ぶことが多く、外見では判断できない損傷が内部に進行しているケースが珍しくありません。
建物が受ける塩害とは?
塩害(えんがい)とは、海岸近くや冬期に凍結防止剤(塩化カルシウムなど)を使う地域で、塩分を含む水分や風(潮風)が建物に影響を与える現象です。
塩害は、建物の耐久性・安全性・美観に深刻なダメージを与えることがあります。
以下に、被害が発生しやすい部位とその具体的な影響を整理して説明します。
【塩害による被害の部位と内容】
① 鉄筋コンクリート造の「鉄筋」
■被害内容
鉄筋の腐食(さび)
■原因
塩分がコンクリートの中に浸透し、鉄筋を腐食させる
■結果
膨張によるコンクリートのひび割れ・剥離
構造強度の低下
最悪の場合、落下物事故や倒壊リスク
② 外壁(モルタル・コンクリート・サイディング)
■被害内容
表面のひび割れ・剥離・白華(エフロレッセンス)
劣化促進(塗膜のはがれ、外観の悪化)
■原因
塩分を含んだ湿気・潮風が直接あたる
③ 金属部材(手すり・窓枠・フェンス・外階段など)
■被害内容
サビ(腐食)・穴あき・強度低下
■影響が出る金属
鉄:最も影響を受けやすい
アルミ・ステンレス:長期的に腐食が進行する可能性あり(特に接合部)
④ 屋根材・軒裏
■被害内容
金属屋根:サビ・腐食・塗膜劣化
■軒裏
結露と併発して塩分の蓄積 → 木部腐朽やクロスの劣化
備考:風向き・吹き上げによって塩分が入り込みやすい場所
⑤ 給排水管・空調設備(屋外機)
■被害内容
金属管のサビ → 漏水
空調機器の熱交換器の腐食 → 冷暖房効率の低下
⑥ コンクリート基礎
■被害内容
鉄筋と同様に内部からの膨張・クラック
長期的には沈下やひび割れの進行
2.福津市で実際にあった「塩害」による住宅劣化の事例
ある築28年の中古戸建て(福津市西福間)は、外観は比較的良好に見えていたにもかかわらず、住宅診断を行った結果、以下のような問題が判明しました。
●ベランダ下部の鉄筋が腐食し、コンクリートが剥離
●屋根下地に塩分が蓄積しており、構造材がボロボロに劣化
●窓サッシ周囲に細かなクラックが複数発生し、雨水が浸入
さらに、
●陶器瓦の素焼き部分が塩害によってボロボロに崩れ、瓦の強度と防水性能が大幅に低下する深刻な劣化も確認されました。
陶器瓦は通常耐久性が高いですが、海風による塩分の影響でこのような劣化が進むと、屋根全体の安全性を損なうリスクが高まります。
このようなケースでは、仮に診断を行わずに内装リフォームだけ先行していたら、
数年後に雨漏りや構造不安が発生し、せっかくのリフォーム費用が無駄になっていた可能性があります。
3.住宅診断の目的とは?― ただのチェックではありません
住宅診断(インスペクション)とは、建築士や住宅診断士が建物の構造・劣化・耐久性・安全性を調べるための専門的な調査です。
主なチェック項目には以下のようなものがあります
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診断結果があることで、「何を直すべきか」「どこはそのままで良いか」が明確になるため、計画的なリフォーム設計が可能になります。
4.【重要】診断を先に行うメリット=“予算が組めること”
住宅診断を先に行う最大のメリットは、リフォームの優先順位が立てられ、無理のない資金計画が組めることです。
たとえば
「構造に問題がないから内装中心に予算を回そう」
「屋根は補修で済むから全面葺き替えは不要」
「将来的に耐震補強も見据えて今回は下準備だけしておこう」
また
「水回りだけの交換予定だったが、まずは雨漏り対策を行い建物の耐久性能を高める工事を優先して行わなければならない。水回りの交換は来年以降に予定しよう。」
といった判断ができるようになります。
診断なしでリフォームに突入すると、工事中に想定外の修繕が必要になり、「追加費用が100万円以上になった」という事例も少なくありません。
特に塩害の可能性も高い福津市周辺では、構造材の傷みや金属の腐食が見つかる確率が高いため、事前の調査は必須です。
5.福津市での住宅診断の費用相場
住宅診断の費用は診断範囲や住宅の広さによって異なりますが、福津市を含む福岡エリアでは以下の相場が目安です。
相場に加えインスペクション(既存住宅状況調査)に関して福岡県建築住宅センターが公開している料金を参考にして費用の目安にして下さい。
住宅診断・既存住宅状況調査においては住宅の築年数や劣化度合に合わせて診断箇所が選択でいるように全体的な目視の基本料金と、より詳細に診断するオプションに分かれています。
中古住宅の建物現状把握のための既存住宅現況調査において基本的な診断項目を網羅した場合、15万円程度が相場と言えます。
検査会社が行っている「住宅診断」は新築住宅でも対応でき、調査項目も多岐にわたる場合も多く、その分費用もさらに高額になります。
標準的な診断料金
基本料金:50,000~65,000円(税込55,000~71,500円)
〈参考〉 住まいのの健康診断
(インスペクション/既存住宅状況調査)
基本料金 : 66,000円(税込)
オプション調査費用
各項目詳細調査:20,000~30,000円(税込22,000~33,000円)
〈参考〉 住まいのの健康診断
(インスペクション/既存住宅状況調査)
● オプション料金(戸建住宅)
①床下進入調査
追加料金11,000円(税込)
②小屋裏進入調査
追加料金11,000円(税込)
③耐震診断
追加料金33,000円(税込)※
④断熱材施工状況調査
追加料金33,000円(税込)
⑤瑕疵保険事前検査
追加料金16,500円(税込)
※耐震診断
(一財)日本建築防災協会発行の【木造住宅の耐震診断と補強方法】に基づく「一般診断法」による調査です。
一般診断法は、原則、目視による調査で分かる範囲の情報に基づき大地震動での倒壊の可能性に関して診断し、
その診断結果をもとに、耐震補強が必要かどうかを判定します。
木造戸建て住宅の耐震診断は検査会社や協会などによっても費用が異なり数十万円かかる場合もあります。
ちなみに
木耐協(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合)の耐震診断費用は、原則として、110,000円(税込)です。
福岡県こどもリノベ補助金を受ける場合は「住まいの健康診断」として、住宅市場活性化協議会で認められた事業者である「一般財団法人 福岡県建築住宅センター」が実施するインスペクション 「既存住宅状況調査」が必須になっています。
住宅診断を依頼する場合このようなリフォーム団体に加盟登録している事業者に診断を依頼すると安心です・また料金表も公開されているので参考になるでしょう。
6.まとめ:住宅診断で「ムダな工事」と「損するリフォーム」を防ごう
福津市のような塩害リスクがある地域では、住宅診断はただの“点検”ではなく、将来のトラブルや追加出費を防ぐための先手です。
診断によって現状を把握することで、優先順位のついた予算配分が可能になり、後悔のないリフォーム計画が立てられます。
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